すでんょしくぃふはれこ【おあべんか」
ぺん、ぺぐ、ぺぎ……ぴがぁ……。
あゆ……うま
■
もうこの船には居られない。
このままでは死んでしまう。
そうだ、逃げよう。
けど、ここは海のど真ん中。
仮にこの広大な客船内を走破しても、逃げられる場所なんてない。
次々と襲い掛かってくる謎の生き物たち。
彼らも、昔はあたしと同じ人間だったのだろうか。
この大海を延々と泳いでいられるような体になることさえできれば、
ここまでの絶望を味わうこともなかったのに……。
なんて、弱気になってはいけない。
あたしは必ず生き残ってみせる!
そう思っていたのに、自らを神と名乗る謎の存在が立ちふさがる。
もうだめだぁ……。
たべるものがない【かんべあお】
おなかがすいた
でもふねのなかにはなにもない
あるのはぼうきれ
それをつかってさかなをつろうにも
つりあげるのはごみばかり
あたしのへやをごみまみれにしたあのおんなも
ながぐつをたべてからどこかへきえた
おなかがすいた
すいぞくかんのなかまがおいしそうにみえる
けどかれらをたべるわけにはいかない
そうしたら
ほんとうに
あたしひとりに
なってしまう
経営があまり良くないみたい【神戸青】
社長に行く先を聞いてみた。
なんでも、宝探しに向かっているらしい。
本人曰く、そういうイベントだと言い張っているが、
本気でお宝を探そうと思っているみたいだ。
というのも、いつのまにか
スタッフが屈強で強面の物騒なやつらに入れ替わっていた。
そんな彼らが、社長を筆頭に全員宝探しに出かけていった。
それっきり、誰も帰ってこなかった。
気づくと、船にはあたしと自称海賊の女、
そして水族館の動物だけになっていた。
待望のショータイム!【神戸青】
ようやく下っ端のおしごとじゃなくて、
ぱらだいすすいぞくかんのメインイベントを担当することになった!
スタッフで楽器を演奏して、
その音楽に合わせて動物達がダンスを踊るんだって。
すっごく面白そう!
いっぱい練習して、いっぱいお客さんに喜んでもらうんだ!
こう見えてきれい好き(女子力アピール)【神戸青】
今度のおしごとは水族館内の清掃。
しかし、動物はデリケートな生き物だっていうのに、
周囲にはいろんなゴミが散らばっている。
ここはあたしがなんとかしてやらないとな!
というわけで、お掃除がんばるぞ!
って、今度はデッキブラシを持った自称海賊の女が突っかかってくる。
「社長に媚びても無駄ですよ」って、別にそんなつもりじゃねーし。
「それともお掃除がお好きなんですか?」
ビッカビカになった瞬間は大好きだぜ! とか受け答えしたら、
面白くなさそうな顔をしてどっかに行っちゃった。
その後、自分の部屋に戻ったら、
なぜかゴミの山で溢れかえっていた。
おしごと以外でも掃除をすることになるなんてツイてないや。